●病態
・心嚢穿刺の対象は,軽症ではない心嚢液貯留および心タンポナーデである.
・心タンポナーデは心室拡張障害による静脈圧上昇と心拍出量低下をきたす致死的な循環不全である.重症ではショックや冠血流低下による心停止をきたす.
・心嚢液は生理的に成人で50mL未満存在する.原疾患により心嚢液が急速・短時間に貯留すると100mL程度で急性心タンポナーデとなるが,長期間の貯留では中等量以上でも無症状であることもある.
・心タンポナーデを示す徴候は,Beckの三徴(頸静脈怒張,血圧低下,心音減弱),頻脈,奇脈,Kussmaul(クスマウル)徴候などである.
・小児の原疾患は急性心外膜炎,川崎病,開心術後(心膜切開後症候群),悪性腫瘍(悪性リンパ腫),外傷,感染症,自己免疫性,甲状腺機能低下症,腎不全,神経性食欲不振症などである.
●治療方針
治療の目的は心室拡張障害の解除である.また原因疾患検索のため心嚢液の解