診療支援
治療

新生児の静脈栄養
parenteral nutrition in neonate
東海林宏道
(順天堂大学小児科・准教授)

●病態

・胎児は分娩直前まで胎盤~臍帯静脈を介して母体から静脈栄養を受けているが,早産児では栄養の蓄積が十分でない時期に供給が遮断されてしまうため,出生直後から経静脈栄養を開始するべきである.

・新生児期は代謝活性が高い臓器(脳,心臓,肝臓,腎臓)の体組成に占める割合が高いため必要エネルギー量も多く,さらに児の基礎疾患に伴い循環不全,低酸素が存在する場合や感染,ストレス,使用薬剤などにより栄養必要量が増加する.

●治療方針

A.early aggressive nutrition(EAN)

 生後早期の蛋白異化を抑えるため,出生直後よりアミノ酸を含む中心静脈栄養に加え,生後24時間以内にminimal enteral nutrition(MEN)で経腸栄養を開始することをEANという.

 早産児ではEANにより体重減少率を抑えることで出生体重復帰までの日齢を早め,胎児発育に近似した成長と体組成を維持することで身体発育や精神運動発達予後を改善する.

B.エネルギー・蛋白質(アミノ酸)

表1

 経静脈的アミノ酸投与により窒素バランスは正となり,蛋白付加を促進し,内因性インスリン分泌増加が組織のグルコース耐性を改善することで,高血糖の抑制が期待できる.

 プレアミン-P(13mL=アミノ酸約1g)は新生児の代謝特性を考慮し,フェニルアラニンやメチオニンを減量し,分岐鎖アミノ酸配合比を上げ,さらにタウリンを添加した経静脈用アミノ酸製剤である.

 わが国ではプレアミン-Pを0.5~1.0g/kg/日で開始し,0.5g/kg/日ずつ増量,2~3g/kg/日を目標に投与するのが一般的である.しかし,2~3g/kg/日で開始して3.4~4.5g/kg/日(超低出生体重児では4.5g/kg/日)まで増量しても,一過性の血清BUN上昇以外に副作用はないとされている.

 早産児では低い投与エネルギー下においても窒

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?