診療支援
治療

新生児発作
neonatal seizures
奥村彰久
(愛知医科大学小児科学・教授)

治療のポイント

・新生児発作の診断および治療効果判定には脳波記録・モニタリングが不可欠である.

・新生児発作の大半は何らかの基礎疾患による急性症候性発作であり,基礎疾患の治療を重視する.

・抗てんかん薬の投与は,発作の持続が長く頻回に起き,経皮酸素飽和度低下などの自律神経症状を伴う場合に考慮する.

●病態

・新生児発作の最も重要な特徴は,electro-clinical dissociationである.

・新生児発作の客観的な診断や治療効果判定には,脳波記録・モニタリングが不可欠である.

・新生児発作は焦点性発作である.脳波では発作性変化を認めるが臨床症状を伴わないsubclinical seizureが過半数である.

・臨床症状の観察に基づく診断はきわめて不正確である.しばしば微細発作とされるペダル漕ぎ様運動は,脳波では発作時変化を欠如し皮質起源ではない.

・客観的な診断や治療効果判定には,脳波記録・モニタリングが不可欠である.

・2018年に国際抗てんかん連盟(https://www.ilae.org/)から新しい発作型分類が提案されたが,まだ完成には至っていない.そのなかでは新生児発作はすべて焦点起始である,と記述されていることが注目される.また,発作型については最も顕著な症状に基づいて判断するという,新しい考え方が提示されている.

●治療方針

 基礎疾患に対する治療を重視する.

 診断や治療効果判定には,脳波やamplitude-integrated EEG(aEEG)に基づく客観的な判定が必要である.持続が長く頻回に起き,経皮酸素飽和度低下などの自律神経症状を伴う場合に薬剤投与を考慮する.

 治療を開始する前に,通常脳波あるいはaEEGで発作時記録を行い,皮質起源の発作であるか否かの鑑別を十分に行う.新生児発作の大半は仮死をはじめとする急性症候性の発作であり,慢性疾患としてのてんかんとは異な

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