●病態
・フェニルケトン尿症(PKU)は,フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)をコードする遺伝子の変異により,高フェニルアラニン(Phe)血症(血中Phe値≧2mg/dL)を発症する遺伝性の代謝異常症である.
・無治療の場合,高Phe血症による精神発達遅滞やけいれんを発症し,チロシンの低下による赤毛,色白など色素異常を呈する.
●治療方針
食事からのPheを制限するために低蛋白食療法を行い,不足するアミノ酸を治療粉乳あるいはPhe無添加総合アミノ酸粉末(A-1,雪印)を用いる.2014年に米国の科学レビュー会議から発表された血中Phe値〔妊婦を含む全年齢で血中Phe濃度が2~6mg/dL(120~360μmol/L)〕を治療指針に治療を行う.
BH4反応性高Phe血症ではビオプテン顆粒(補酵素BH4)の内服により食事治療を軽減,あるいは中止することができる.血中Phe値のコントロールは生涯続けることが必要である.
A.治療の実際
血中Phe値を2~6mg/dL(120~360μmol/L)の範囲に維持するために,ビオプテンの大量補充療法あるいはフェニルアラニン除去ミルク配合散「雪印」を用いて蛋白質の摂取制限による食事治療を実施する.
治療の開始時期は予後を大きく左右するため,新生児期に治療を開始することが望ましい.
1.PKU
血中Phe値が20mg/dL以上の古典的PKUでは,フェニルアラニン除去ミルク配合散を用いて1日のPhe摂取量を20~30mg/kgに制限し,数日後に血中Phe値が2~4mg/dLに低下するのを確認して,摂取量50~70mg/kgに徐々に増やしていく.血中Phe値が維持範囲で安定するまでの約3~4週間は,入院にて治療をすることが望ましい.
2.BH4反応性高Phe血症
血中Phe値が20mg/dL未満の軽症PKUあるいは軽症高Phe血症の場合は,ビオプテン顆粒の
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