●病態
・分枝鎖ケト酸脱水素酵素の異常により,分枝鎖アミノ酸(BCAA)であるバリン,ロイシン,イソロイシン由来の分枝鎖ケト酸(BCKA)の代謝が障害される.
・古典型では生後1週間程度で嘔吐,けいれん,昏睡などの症状をきたす.間欠型や中間型では新生児期には無症状であり,感染などをきっかけとして嘔吐や昏睡,発達の遅れなどを認める.
・チアミン反応型では,チアミン投与により分枝鎖アミノ酸は低下し,臨床症状が改善する.
●治療方針
治療の目標は,急性増悪の発症を防止しながら十分な発育,発達を得ることである.
A.急性期の治療方針
重篤な代謝発作として直ちに各種バイタルサインの安定化をはかる.気管挿管と人工換気,末梢静脈ルートの確保,昇圧薬の投与などの処置をICU管理下で行うのが望ましい.ブドウ糖輸液によるエネルギー補給を維持し,異化亢進の抑制をする.
重炭酸ナトリウム投与による補正が困難で,進行性の代謝性アシドーシスが高度な場合は,血液浄化療法(CHDまたはCGDF)を積極的に行う.BCAA除去ミルク(雪印ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク)を使用し,血中ロイシン値を150~400μmol/L(2~5mg/dL)に維持することを目標とする.チアミン依存性の可能性もあるので,発症時から大量のチアミン(10~1,000mg/日)投与を試みる.
B.急性期離脱後および慢性進行型の治療
治療の目標は急性増悪の発症を防止しながら十分な発育,発達を得ることである.BCAA除去ミルクに普通ミルクを混合して使用する.混合比は血中ロイシン値を150~400μmol/L(2~5mg/dL)に維持することを目標として決定する.新生児,乳幼児期の古典型であれば,BCAA摂取量はロイシン60~90mg/日,イソロイシンおよびバリンは40~50mg/日が目安となる.また,ほかの必須アミノ酸の濃度も発育発達に重要
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