診療支援
治療

Niemann-Pick病
Niemann-Pick disease
成田 綾
(鳥取大学医学部附属病院脳神経小児科・講師)

●病態

・Niemann-Pick(ニーマン・ピック)病は,肝脾腫や神経症状を呈するライソゾーム病である.

・ライソゾーム酵素の酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(ASMD)であるA型ならびにB型と,細胞内脂質輸送にかかわる蛋白質の異常により生じるC型がある.

・Niemann-Pick病A型およびB型はSMPD1遺伝子の変異により生じる.臨床病型はA型(乳児期より肝脾腫,発達遅滞を呈し,急速に神経症状が進行する),B型(神経症状がなく,肝脾腫や肺機能障害を呈する)とその中間型のA/B型に分類される.

・Niemann-Pick病C型は,NPC1またはNPC2遺伝子の変異により,細胞内に遊離コレステロールが蓄積し,肝脾腫や神経症状(垂直性眼球運動障害,失調,ジストニア,カタプレキシー,嚥下障害など),精神症状を呈する.

●治療方針

1.Niemann-Pick病A型,B型,A/B型

 現在まで有効な治療法は確立されておらず,対症療法が中心となる.現在,酵素補充療法が開発中で,海外では治験が進められている.

2.Niemann-Pick病C型

 グルコシルセラミド合成酵素阻害薬であるミグルスタットが保険適用となっている.加えて,嚥下障害やてんかんに対しては対症療法が行われる.カタプレキシーにはトフラニールなどの三環系抗うつ薬も有効である.

Px処方例

ブレーザベスカプセル(100mg) 体表面積に基づき用量を調整(1日100~600mg)(成人量1日600mg)

 体表面積(m2) 0.47以下:1回100mg 1日1回,0.47超~0.73以下:1回100mg 1日2回,0.73超~0.88以下:1回100mg 1日3回,0.88超~1.25以下:1回200mg 1日2回,1.25超:1回200mg 1日3回

■専門医へのコンサルト

・原因不明の肝脾腫や肝機能障害,神経症状(垂直性眼球運動障害,失調,

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