治療のポイント
・急性副腎不全の疑いがあれば,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),コルチゾール,電解質,血糖の検査を行い,治療を迅速に開始する.
●病態
・急性副腎不全は,原発性または二次性副腎皮質機能低下症の児が,感染などのストレスを誘因として,糖質コルチコイドおよび鉱質コルチコイドが相対的に不足し,重篤な症状を生じる状態である.他疾患におけるステロイド治療が急に中断された場合にも発症しうる.
・症状には,易疲労感,嘔吐などの腹部症状,けいれん,ショックなどがみられ,急速に進行し,死に至ることもある.電解質異常や低血糖を伴わないことはまれではない.
●治療方針
血管を確保し,電解質,血糖,血液ガスなどの採血を行う.すみやかに糖質コルチコイドを補充し,脱水および電解質異常を補正することが重要である.適切に治療が行われれば,数時間で全身状態が改善することが多い.
A.糖質コルチコイド
急性副腎不全の症状を呈さなくても,感染などに伴いストレス量の糖質コルチコイドを内服できない場合や,手術など急性副腎不全の危険がある場合にも経静脈的に糖質コルチコイドを補充する.
1.初期治療
Px処方例
ソル・コーテフ薬注 1回25mg/m2 静注
2.補充療法
Px処方例 初期治療に続き下記を投与する.
ソル・コーテフ薬注 1日100mg/m2 持続点滴静注
ストレス量のソル・コーテフを投与する場合には,鉱質コルチコイド作用も期待できるため,原発性副腎皮質機能低下症例でも鉱質コルチコイドの補充は必要ない.状態が改善すれば,12~24時間ごとに減量し,数日以内に通常の経口糖質コルチコイド薬に戻すことが可能である.
B.輸液
1.初期治療
Px処方例 循環不全がある場合は下記を投与する.
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