診療支援
治療

急性副腎不全
acute adrenal insufficiency
麻生敬子
(東邦大学医療センター大森病院小児科・院内講師)

治療のポイント

・急性副腎不全の疑いがあれば,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),コルチゾール,電解質,血糖の検査を行い,治療を迅速に開始する.

●病態

・急性副腎不全は,原発性または二次性副腎皮質機能低下症の児が,感染などのストレスを誘因として,糖質コルチコイドおよび鉱質コルチコイドが相対的に不足し,重篤な症状を生じる状態である.他疾患におけるステロイド治療が急に中断された場合にも発症しうる.

・症状には,易疲労感,嘔吐などの腹部症状,けいれん,ショックなどがみられ,急速に進行し,死に至ることもある.電解質異常や低血糖を伴わないことはまれではない.

●治療方針

 血管を確保し,電解質,血糖,血液ガスなどの採血を行う.すみやかに糖質コルチコイドを補充し,脱水および電解質異常を補正することが重要である.適切に治療が行われれば,数時間で全身状態が改善することが多い.

A.糖質コルチコイド

 急性副腎不全の症状を

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