診療支援
治療

Cushing症候群
Cushing's syndrome
樋口真司
(大阪市立総合医療センター小児代謝・内分泌内科・医長)

治療のポイント

・治療の原則は手術である.

・切除困難例には姑息的治療としてステロイド産生阻害薬がある.

・切除可能例でも術前高コルチゾール血症を認めた場合にステロイド産生阻害薬を用いることがある.

・術後に副腎不全が発症する可能性がある.

・術後にステロイドホルモン補充が必要な場合がある.

●病態

・Cushing(クッシング)症候群は副腎皮質から糖質コルチコイド(コルチゾール)分泌過剰により症状が引き起こされる状態である.

・原因には,副腎腺腫,副腎癌,副腎過形成〔副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)非依存性大結節性副腎皮質過形成,原発性色素沈着性結節性副腎皮質病変〕がある(小児Cushing症候群における最頻度の原因は医原性であるが,本項目では除外する).

・症状としては,成長率低下,中心性肥満,満月様顔貌,多毛,皮膚線条,糖尿病,骨粗鬆症などがある.副腎癌では,コルチゾール以外に鉱質コルチコイド(低K血症),アンドロゲン過剰(男性化)を認めることがある.

・検査では,コルチゾールの過剰とACTH,コルチゾールの日内変動消失を確認する.ACTH依存性か非依存性の証明にはデキサメタゾン負荷試験を行う.腺腫,癌は片側性が多く,過形成は両側性が多い.

●治療方針

 第一にCushing症候群の診断を確実にする.コルチゾール産生性(機能性)のものが症状を引き起こす.131I-アドステロールシンチグラフィーで取り込みが亢進している側を機能性腫瘍と考え,原則副腎摘出術を行う.

 第二に,コルチゾール以外のホルモン産生がないか確認する.

 第三に,術後のステロイドホルモン補充(コートリル,フロリネフ)が必要な場合がある.コートリルは生理量とストレス量(38℃以上の発熱,外傷,手術,胃腸炎)がある.sick day対策を十分に説明しておく.

 第四に,手術不能例,再発・転移例,術前に著明な高コルチゾール血症が存在する

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