診療支援
治療

Turner症候群
Turner syndrome
川井正信
(大阪母子医療センター消化器・内分泌科・副部長)

●病態

・Turner(ターナー)症候群(TS)は,1つのX染色体を完全に有しているが,もう一方のX染色体を全部あるいは部分的に欠失することに起因する染色体異常症である.染色体核型としては45,Xが代表的であるが,それ以外にもiso(Xq),Xp-,およびこれらを含む種々のモザイクなどを認める.

・低身長,原発性性腺機能低下症,特徴的奇形徴候(Turner徴候:翼状頸,外反肘,高口蓋,楯状胸など)が代表的な臨床症状である.

・診断の時期により契機となる臨床症状は異なる.新生児期には心疾患やリンパ管浮腫,幼児期から学童期には低身長,思春期には二次性徴の欠如や無月経を契機に診断されることが多い.

・成人期には性腺機能低下だけでなく,大動脈拡張/解離,肥満,糖尿病,高血圧,炎症性腸疾患,骨粗鬆症などを合併する場合がある.このときには多くの専門診療科に及ぶ管理が必要となる.

・最近ではTSを体質ととらえ,Turner女性とよぶ傾向にある.

・「ターナー症候群におけるエストロゲン補充療法ガイドライン」が2008年に公表されている.またTurner Syndrome Consensus Study Groupによる国際的ガイドラインの改訂版が2017年に公表されている.

・TS患者の健康管理には小児内分泌学会監修の「Health Care Book」が有用である.

●治療方針

 小児期には,低身長や原発性性腺機能低下に対する治療が中心となる.その他,頻度の高い合併症として中耳炎,歯科矯正に対し,耳鼻科,歯科医師に依頼することもある.また社会面・心理面のフォローも必要で,看護師,心理士も含めたチームで医療を行う.TSのケアは生涯にわたるため,成人期への移行を念頭において医療を行うことが重要である.

A.低身長

 ほぼ100%のTS患者に低身長を認め,その成人身長は無治療では平均141.2cmと報告されている.

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