●病態
・抗U1-RNP抗体陽性・Raynaud(レイノー)現象を中核的所見とし,全身性エリテマトーデス(SLE),全身性強皮症(SSc),多発性筋炎(PM)の3疾患の特徴が混在した臨床像を呈する.
・小児期発症MCTD(JMCTD)は,発症初期に皮膚筋炎(DM)やSSc様所見を呈することは少ない.幼少期はSLE,青年期になるにつれSSc症状が徐々に加わる.
・予後は肺高血圧症・肺線維症の発症と進展度による.診断基準は2015年より小児慢性特定疾病制度の対象となり,日本小児リウマチ学会で作成した基準が用いられている(表1図).
・なお,成人から小児までを含む新しい基準が2019年に厚労省研究班で作成された(Tanaka Y,et al:Mod Rheumatol 7:1-5,2020).今後の診療・研究は新しい診断基準に基づいたものとなると考えられる.
●治療方針
重症度を4段階に分け,症状に応じた治療法を選択する.SLEとは異なり急性増悪後の活動性は平低化するため,大量ステロイドを必要とすることは少ない.ただし肺高血圧症や腎炎を合併した場合は予後に直結するため,しっかりとした免疫抑制と合併症に対する治療が必要である.
A.Raynaud現象,関節炎など軽微な所見のみまたは確定診断前のとき
Raynaud現象に対しては保温が基本.ビタミンEの投与,プロスタグランジン製剤・ヒルドイド軟膏などを用いる.関節炎に対しては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を用い,関節炎などの軽微な所見に対して少量のプレドニゾロンを投与して反応を観察しながら漸減する.NSAIDsによる急性胃粘膜病変と無菌性髄膜炎の発症に注意を要する.
Px処方例 下記の薬剤を症状に応じて適宜用いる.
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