診療支援
治療

血管炎症候群(川崎病,IgA血管炎を除く)
vasculitis syndrome
中野直子
(愛媛県立中央病院小児科・医監部長)

●病態

・血管炎症候群とは,血管を主座とする炎症により惹起される疾患の総称である.小児では川崎病,IgA血管炎が多い.本項では,まれな疾患であるが不明熱の鑑別にあげられるべき高安動脈炎について述べる.

・高安動脈炎は大型血管の慢性肉芽腫性血管炎であり,全身症状として発熱,局所症状として狭窄あるいは閉塞をきたした動脈への支配臓器に虚血障害,あるいは拡張病変による動脈瘤がその臨床病態の中心をなす.

・発症機序は不明であるが,感染などを契機として免疫的な機序で血管炎が進展すると考えられている.またHLA-B*52やB*67の保有率が高いため,炎症制御にかかわる遺伝子素因の関与が示唆されており,さらにB*52陽性例は治療抵抗性であることが多い.

・早期診断の有無により予後が大きく左右されるため超音波,造影CT,造影MRI,PET-CTを駆使して迅速な病変の評価が望まれる.

・小児慢性特定疾患の医療費助成のための診断基準が作成されている(小児慢性特定疾患情報センターウェブサイトhttps://www.shouman.jp/disease/instructions/06_02_007/より)

●治療方針

 第一に画像検査で全身の血管病変を評価し,腎血管性高血圧や炎症性腸疾患などの合併症の有無を確認する.

 第二に重大な臓器障害を予防するためにも,発症早期からの適切な内科的治療がきわめて重要である.活動性に有用な検査所見はESRやCRPなどの炎症マーカーであり,特異的なバイオマーカーは確立していない.

 第三にステロイドによる成長障害など,薬剤の影響を最小限に留めることを目標とする.

A.急性期治療

 急性期の抗炎症を目的としたステロイドを治療の中心に据え,再発防止やステロイド減量や中止を目的とした維持療法としての免疫抑制薬を併用する.

Px処方例 下記➊~➍を併用する.

➊メチルプレドニゾロンパルス療法:ソル・

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