Ⅰ.結節性紅斑
●病態
・発熱・関節痛などの症状とともに,両側下肢伸側に有痛性の皮下硬結を伴う紅斑を認める.
・病理組織学的には皮下脂肪組織における隔壁性脂肪織炎である.潰瘍化はなく,治癒後に瘢痕を残さない.
・原因として感染性,炎症性疾患,悪性疾患,薬剤性などが報告されている.
●治療方針
鑑別と原因疾患の検索を行う.結節性紅斑そのものは予後良好な病態であることを家族に説明する.薬剤性が疑われる場合は被疑薬を中止する.
1.原因疾患に対する治療
感染症により発症した場合には,感受性のある抗菌薬,抗ウイルス薬を投与する.
2.治療
安静,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が第1選択薬となる.ステロイドは全身症状が重篤な場合に用いる.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
■専門医へのコンサルト
・基礎疾患に炎症性疾患や悪性疾患を合併する場合は,専門医と相談したうえで治療法を決定する.
Ⅱ.多型滲出性紅斑
●病態
・多型紅斑と同義語である.四肢伸側に対称性に生じる紅色丘疹で始まり,拡大して類円形境界明瞭な紅斑となる.
・紅斑の中心に陥凹や発赤の状況がみられ,標的状病変(target lesion)の外観を呈する.
・皮疹は数日にわたり,新旧混在して多型を呈する.一般的には数週間で自然軽快傾向を示す.
・原因として,単純ヘルペスウイルス(HSV)やマイコプラズマ感染または薬剤投与後に発症する.
●治療方針
A.抗ヒスタミン薬
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
➊ザイザル薬シロップ 1回2.5mL(1~6歳),1回5mL(7~14歳)(製剤量と
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