診療支援
治療

自己炎症性疾患
autoinflammatory diseases
安村純子
(JR広島病院小児科・部長)

 わが国で報告のある家族性地中海熱,TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS),クリオピリン関連周期熱症候群,メバロン酸キナーゼ欠損症,Blau(ブラウ)症候群について述べる.いずれも希少疾患であり,診断・治療に関しては専門家にコンサルトすることが重要であるが「自己炎症性疾患診療ガイドライン2017」(日本小児リウマチ学会編)も参考にされたい.

Ⅰ.家族性地中海熱

●病態

MEFV遺伝子変異によるパイリンの機能異常を背景とした炎症制御機構の破綻により発症する.

・発熱,漿膜炎による胸痛・腹痛,関節炎などを周期的に繰り返すが,発熱期間・程度および症状から典型例と非典型例に分かれる.

●治療方針

 まず初めにコルヒチンを試す.コルヒチンが無効または副作用で使用できない症例は,イラリスを検討する.

A.基本治療

Px処方例

コルヒチン錠 1日0.01~0.03mg/kg(最大1日1.5mg) 1日1~2回に分けて少量から開始し,有効かつ副作用の出ない量を維持する.

B.追加治療

Px処方例

イラリス注 体重40kg以下:1回2mg/kg 4週間ごと 皮下注(1回4mg/kgまで増量可能),体重40kg以上:1回150mg 4週間ごと 皮下注(1回300mgまで増量可能)

Ⅱ.クリオピリン関連周期熱症候群

●病態

・Cryopyrin(NLRP3遺伝子)の機能獲得型変異によるIL-1βの過剰産生が基本病態.常染色体優性遺伝.重症型の新生児期発症多臓器系炎症性疾患(NOMID)/慢性乳児神経皮膚関節症候群(CINCA症候群),中等症のMuckle-Wells(マックル・ウェルズ)症候群(MWS),軽症型の家族性寒冷蕁麻疹(FCAS)に分類される.

●治療方針

 抗IL-1製剤が基本治療となり,わが国ではイラリスが保険適用となっている.

A.MWS・NOMID/CINCA症候群

Px処方例

イラリス注 体重40kg以

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