診療支援
治療

乳幼児喘息
preschool childhood asthma
吉原重美
(獨協医科大学小児科学・主任教授)

 「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2017」では,5歳以下を乳幼児喘息と一括りにした.本項では,この乳幼児喘息の診断と治療について言及する.

●病態

・JPGL2017では,5歳以下の反復性喘鳴のうち明らかな24時間以上続く呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返し,β2刺激薬吸入後に呼気性喘鳴や努力性呼吸・SpO2の改善が認められる場合に乳幼児喘息と診断する.

・さらに乳幼児は学童期以降と比較して解剖学的・生理学的に異なるため,β2刺激薬に反応が乏しいものの呼気性喘鳴を認める症例に対しては,「診断的治療」を用いて「乳幼児喘息」と診断できる(図1).

●治療方針

A.長期管理に関する薬物治療

 乳幼児喘息の長期管理に関する薬物療法プランを表1に示す.

 治療ステップ1は,重症度が間欠型に該当する治療ステップであり,基本治療では長期管理薬を使用せず,症状出現時に短時間作用性β2刺激薬(SABA)を対症的に短期間用いるか,2週間をめどに短期追加治療を上乗せする.

 治療ステップ2は,重症度が軽症持続型に相当する場合に該当する治療であり,基本治療として低用量吸入ステロイド(ICS),ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA),クロモグリク酸ナトリウム(DSCG)から選択し,長期管理を開始する.

 治療ステップ3は,重症度が中等症持続型に相当する場合に該当する治療であり,基本治療として5歳未満では中用量ICS,5歳以上では中用量ICSもしくは低用量サルメテロール・フルチカゾン配合剤(SFC)を選択する.

 治療ステップ4は,重症度が重症持続型に相当する場合に該当する治療である.基本治療として高用量ICSもしくは5歳以上であれば中用量SFCを選択する.またLTRA併用も検討する.高用量ICSと中用量SFCの有効性は大きな差はないことが示されている.

1.軽症持続型

Px処方例

シングレア細粒(4

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