●病態
・思春期喘息難治例は,臨床症状が多彩であり,自覚症状を否定しやすい特徴がある.そこで呼気中NO,肺機能検査,気道可逆性検査など客観的指標を用い,重症度を把握することが重要である.
・喘息は慢性疾患であり乳幼児期から発症し,毎日の抗炎症治療を継続する必要がある.治療が困難で思春期まで喘息をもち越した症例は,幼少期からの不適切な養育(「第28章 子ども虐待と小児科医の役割」参照)により均整のとれた発達が得られず心理社会的問題を有し,しばしば危険行動をとることがある.これらの要因が治療コンプライアンスを低下させ,思春期喘息の治療を困難にしている.
●治療方針
A.急性増悪の治療
(「急性増悪への対応」→)
入院が不可能な場合はβ刺激薬吸入,ステロイド内服で治療を開始する.ステロイド内服は1~3日間などと日数を限定し,改善のないときは入院することを約束して処方する.ステロイド内服後に改善がみられた場合,ステロイド吸入薬を継続することは必須である.
テオフィリン製剤は使用が少なくなったが,ステロイド全身投与の次の選択肢として有効である.思春期にはテオフィリン製剤投与による嘔気,気分不良や,β刺激薬内服,頻回吸入による動悸,手指の振戦を訴える場合があり注意を要する.
Px処方例 下記の薬剤を症状に応じて用いる.
(内服薬)
➊プレドニン薬錠(5mg) 1回2錠 1日2~3回 3日間
(注射薬)
➋ソル・メドロール薬注 1回40mg 1日2~3回 静注あるいは点滴静注
➌ネオフィリン薬注 初期投与量:1回3~5mg/kg(最大250mg) 点滴静注,維持量:0.6mg/kg/時(最大250mg/8時間) 点滴静注
B.慢性期の治療
〔「喘息の長期管理」→〕
いかにステロイド吸入薬のコンプライアンスを維持するかが焦点となる.現在の喘息コントロール状況を呼気中NO値などの客観的数値で示し,目標を数値化し共
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