診療支援
治療

ラテックスアレルギー
latex allergy
近藤康人
(藤田医科大学小児科・教授)

●病態

・天然ゴムを含む製品によって引き起こされる反応には,ラテックスアレルギー以外に,アレルギー性接触皮膚炎,刺激性接触皮膚炎があり頻度は圧倒的に後2者が高い.

・ラテックスアレルギーは,天然ゴムに含まれる蛋白質に特異的IgE抗体が産生されることで発症する即時型過敏反応で,アレルギー性接触皮膚炎(化学物質に対する遅延型アレルギー)や刺激性接触皮膚炎(免疫が関与しない,刺激による反応)よりも重篤な症状を呈する.

・通常,天然ゴム製品に曝露されてから数分以内にさまざまな症状を呈する.皮膚に限局した比較的穏やかな反応(瘙痒感や紅斑,蕁麻疹)から,鼻汁やくしゃみ,眼の刺激,喉のかゆみ,喘息様症状(呼吸困難,咳,喘鳴)といった重篤な反応を伴う場合もある.まれにアナフィラキシーショック(血圧低下,意識障害)に進展する場合もある.

・ラテックスアレルギーの国内での有症率は1%未満と考えられている.ハイリスクグループは,医療従事者とラテックス製医療用具に頻回に接触する患者である.

・ラテックスアレルギー患者の約4割が交差反応性から食物アレルギーを起こすことがありラテックス-フルーツ症候群とよばれる.特に交差リスクの高い食品(ハイリスク群)としてアボカド,キウイフルーツ,バナナ,クリの4品目が知られている.

・診断は天然ゴム製品との接触で,明らかな即時型アレルギー症状があることと,皮膚テストあるいは血液検査で特異的IgE抗体が検出されることである.血液検査でのラテックス特異的IgE抗体は,ほかの植物との交差反応性で偽陽性となることがあるので注意が必要である.医療従事者の感作アレルゲンとして特異性が高いラテックスのコンポーネントである,Hev b 6.02に対する特異的IgE抗体検査は保険収載されている.

・日本ラテックスアレルギー研究会「ラテックスアレルギー安全対策ガイドライン2018」も参照されたい.

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