診療支援
治療

咽頭結膜熱
pharyngoconjunctival fever
鈴木道雄
(名古屋記念病院小児科・医長)

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[感]5類 [学]2種(主要症状が消退した後2日を経過するまで)

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●病態

・アデノウイルスはエンベロープをもたない二本鎖DNAウイルスであり,血清型による分類では51種類に,遺伝子型による分類では執筆時点で90型に分類されている.

・アデノウイルス感染症では上気道炎,咽頭炎,結膜炎,胃腸炎,出血性膀胱炎などのさまざまな症状をきたすが,発熱,咽頭炎,結膜炎を合併するものを咽頭結膜熱という.

・主に夏に流行するが,年間を通してみられる.

・主にアデノウイルス3型,7型により発症することが多い.ほかの型でも発症し,同じ型のアデノウイルスでも上気道炎のみ,咽頭炎のみを発症することがある.

●治療方針

 症状や周囲の流行により診断するが,咽頭ぬぐい液を用いた迅速キットも利用できる.

 アデノウイルス感染症,咽頭結膜熱に対する特異的な治療はなく,対症療法のみである.高熱のわりに全身状態がよいことも多い.アデノウイルス感染時に細菌感染症の合併が多いという報告はなく,発熱に対しては解熱薬を,気道症状に対しては去痰薬を必要に応じて処方する.

 結膜炎に対しては2次感染予防のために抗菌薬点眼薬が処方されることも多いが,自然に軽快することも多く,注意深い観察が必要である.

Px処方例

 (発熱に対して)

➊カロナール細粒(20%) 1回10~15mg/kg(成分量として) 頓用(4~6時間以上あけて,最大1日60mg/kg)

 (鼻汁に対して)

➋ムコダインDS(50%) 1回10mg/kg(成分量として) 1日3回

■患児・家族説明のポイント

・高熱は4~5日程続き,10%の患者では7日以上発熱が続くとされていることを説明し,発熱に対する家族の不安をやわらげる.



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