●病態
・2010年以後,妊婦に対するヒトT細胞白血病ウイルス1型(以下HTLV-1)抗体スクリーニング検査が実施されるようになった.その背景と現状をふまえた理由を以下に示す.
a)わが国の推定キャリア数の減少がみられない(1990年約120万人,2006~2007年約108万人)
b)キャリアの大都市圏への拡散
c)高齢化に伴う成人T細胞白血病(ATL)の増加
d)関連脊髄症(HAM)の予後の向上がみられていない
e)発症に関与する因子では母子感染の関与が大きく,その予防が最も効果的である
f)産婦人科ガイドラインによる妊婦抗体検査への推奨度がAであること
g)母子感染予防に有効なワクチン開発はなされておらず,経母乳感染の予防が現在唯一の有効な予防法となっている
・HTLV-1関連疾患が小児期に発症することはきわめてまれであり,小児科医が疾患に遭遇する機会が少ない.主要な感染経路として輸血,