●病態
・毒素性ショック症候群(TSS)は突然に多臓器障害をきたす疾患で,黄色ブドウ球菌により産生されるTSST-1や一部のエンテロトキシンやA群β溶血性レンサ球菌(GAS)の外毒素が原因である.
・突然の発熱,嘔吐,悪寒,下痢,頭痛,咽頭痛,筋肉痛で始まり,その後,循環不全をきたし,多臓器不全に至る症候群である.
・発疹も特徴的で,発病から24~48時間以内に猩紅熱様皮疹や紅皮症(「日焼け」様)など全身皮疹をきたす.GASによるTSSと比べて消化器症状や粘膜症状が多い.発疹を伴う急速なショックで想起する疾患.
・黄色ブドウ球菌性TSSとGASによるTSS(STSS:streptococcal TSS),いずれも診断基準が存在する.黄色ブドウ球菌性TSSは血液培養陰性が多いが,STSSは血液培養陽性になりやすい.
・NTED(新生児TSS様発疹症)は,MRSAの産生するTSST-1によって全身性紅斑を呈する疾患である.出生1週間以内(3~4日が多い)に発症し,血小板減少を伴う点が特徴的である.診断基準として以下のものがある.
A.診断基準
・紅斑(びまん性,全般的,斑状).
・下記のうち少なくとも1つ合致する.
a)血小板減少(<150×103/μL)
b)CRP軽度上昇(1~5mg/dL)
c)発熱(直腸温>38℃)
・その他の疾患が除外できる.
●治療方針
内科的エマージェンシーであり,多くで集中治療室での呼吸循環を要する.
A.NTED
原則的には軽症で,満期産児では特に介入なく自然に軽快する.重症例や未熟児では全身管理に加えて抗MRSA薬を必要とすることもある.
B.重症・劇症例
1.抗菌薬
Px処方例 ➊に,蛋白合成阻害のために➋を併用する.
2.MRSAの蓋然性が高い場合
Px
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