診療支援
治療

緑膿菌感染症
Pseudomonas aeruginosa infections
庄司健介
(国立成育医療研究センター感染症科・医長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[感]薬剤耐性緑膿菌感染症:5類

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

治療のポイント

・抗緑膿菌活性のある抗菌薬による単剤治療が基本だが,重症例では感受性が判明するまでの間,抗緑膿菌活性のあるβラクタム系抗菌薬とアミノグリコシド系抗菌薬など,系統の異なる2剤での治療を開始することもある.

・感受性が判明した以降は原則単剤治療を行う.

・多剤耐性緑膿菌に対する治療は,小児感染症専門医にコンサルトを行う.

●病態

・緑膿菌はブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌である.そもそもの病原性は弱く,基礎疾患のない小児の市中感染で問題となることはほとんどない.

・問題となるのは以下のような場合である.

 a)入院患者におけるカテーテル関連血流感染症,人工呼吸器関連肺炎,カテーテル関連尿路感染症などの病院関連感染症

 b)免疫不全者における日和見感染症

・近年,多剤耐性緑膿菌(MDRP:multi-drug resistant Pseudomonas aeruginosa)による感染症が大きな問題となっている.国や報告ごとにその定義は微妙に異なるが,カルバペネム系,アミノグリコシド系,キノロン系すべてに耐性をもつ緑膿菌と定義されることが多い.わが国のサーベイランスの基準ではイミペネム,アミカシン,シプロフロキサシンのすべてに耐性である緑膿菌と定義される.

・MDRPによる感染症は通常の緑膿菌に比べ予後が悪く,入院期間も長いことが知られている.また時に院内アウトブレイクを起こすことがあり,臨床上も公衆衛生上も大きな問題である.

●治療方針

 抗緑膿菌活性のある抗菌薬は限られており,ほかの抗菌薬で治療可能な緑膿菌以外の菌による感染症に対して安易に使うべきではない.

 抗菌薬を選択する際は,患者の病歴,病態

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?