●病態
・リステリア感染症は,自然界に広く分布するListeria monocytogenesisによって生じ,ウシやヒツジなどの家畜との人獣共通感染症として知られる.感染経路は汚染された生肉,加工肉食品,乳製品および発酵食品の摂取による.
・ヒトの1~5%で腸管内に無症候性に常在し,主に消化管感染症をきたし,時に敗血症や細菌性髄膜炎の原因になる.細胞内寄生菌であり免疫不全患者,妊婦,新生児・乳児,高齢者に発症する.
・リステリア菌はセフェム系に耐性でアンピシリンに感性を有しているため,診断が確定した場合はアンピシリン単独とする.特に髄膜炎や新生児においてはアンピシリンとアミノグリコシド系薬の併用が推奨される.
・抗菌薬の投与期間は,敗血症では14日間,髄膜炎では21日間以上が必要である.新生児感染症はGBS(B群溶連菌)感染症と同様に母体の感染症や細菌定着に続発し,肺炎,敗血症,髄膜炎が主であり