●病態
・特発性間質性肺炎は,主に肺胞壁の肥厚による拡散障害によって低酸素血症(呼吸不全)を呈する疾患群のうち,先天性心疾患,新生児慢性肺疾患(CLD),新生児呼吸窮迫症候群,嚢胞性線維症,先天性肺胞蛋白症(遺伝子異常が原因の間質性肺疾患を含む),肺胞微石症,感染症,免疫不全,膠原病,吸引性肺炎,薬剤性肺炎など原因が明らかなものを除外した一群の疾患である.
・小児慢性特定疾病と難病に指定されているが,成人と小児では病理学的にも臨床的にも異なる点が多い.
・日本小児呼吸器学会では2009年より独自の診断基準を定めて特発性間質性肺炎のレジストリーを運用しているが,自然治癒するものから急速に致死的経過をたどるものまで,さまざまな病態が混在しており,治療方法も確立していない.
・主要な症状は,2週間以上続く多呼吸・低酸素血症(PaO2<60TorrまたはSpO2<90%)であり,咳嗽,喘鳴については不定である.新生児・乳児期発症例では哺乳不良,体重増加不良を伴う.
・胸部単純X線撮影で,びまん性の間質性陰影が認められ,HRCT(高分解能CT)でも多彩な間質性変化が認められる.進行すると肺高血圧,右心不全に陥るので,心電図・心エコーによる評価が必要.
・血液検査では動脈血液ガス分析でPaO2,PaCO2を計測し,血清マーカーのLDH,KL-6,SP-A,SP-Dの上昇を確認する.
●治療方針
低酸素血症に対しては適正な酸素投与を行う.可逆性の気道狭窄を合併している場合は気管支拡張薬を使用する.栄養状態が不良であれば栄養指導を行い,感染症があれば積極的に治療し,各種ワクチン接種で予防可能な疾患を予防し,RSウイルス感染症に対するパリビズマブ投与も可能な限り行う.ほかに,タバコ煙や大気汚染物質への曝露を避ける,呼吸理学療法で排痰を促す,などを推奨する.
薬物治療の第1選択は副腎皮質ステロイド,第2選択
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