診療支援
治療

肺胞蛋白症
pulmonary alveolar proteinosis(PAP)
立石 格
(済生会横浜市南部病院小児科・新生児内科・主任部長)

●病態

・肺サーファクタントの生成または分解過程の異常により,肺サーファクタント由来物質が肺胞を主とする末梢気道内に異常貯留を起こして呼吸不全をきたす疾患である.

・自己免疫性,続発性,先天性,未分類に分類されるが,主として血液疾患に合併する続発性を除けば,小児期に発症するのはほとんどが先天性PAPである.

・先天性PAPでは,肺サーファクタント代謝に関連する複数の遺伝子異常が報告されているが,そのうち,肺サーファクタント蛋白C(SP-C:surfactant protein C)の遺伝子異常は,先天性PAPとして発症しても間質性肺炎の病像を呈してくるものや,新生児期以降に間質性肺炎として発症するものもある.

●治療方針

 続発性PAPでは基礎疾患の治療が主体となり,洗浄療法(全肺洗浄または区域洗浄)も行われることがあるが,その効果についてはエビデンスがない.ここでは主に先天性PAPについて述べる.

 先天性PAPは,肺移植や骨髄移植を除けば有効な治療法は確立しておらず,これらの治療を行うまでの呼吸管理をいかにして肺に愛護的に行うかが鍵となる.

A.呼吸管理

 新生児期に発症するものは呼吸不全が重篤で,人工呼吸器管理が必要となる.高頻度振動換気(HFOV:high frequency oscillatory ventilation)や気道圧開放換気(APRV:airway pressure release ventilation)などを用いて肺保護戦略に基づいて管理する.より重篤な例では体外式膜型人工肺(ECMO:extracorporeal membrane oxygenation)導入が必要となる場合もある.人工呼吸から離脱可能な例もあるので,可及的早期にネーザルハイフローやネーザルCPAPへの移行を目指す.

B.ステロイドとヒドロキシクロロキン

 どちらもSP-C遺伝子異常に起因する間質

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