●病態
・肺葉性肺気腫(LE:lobar emphysema)は,先天性あるいは後天的な種々の原因により気管支腔の虚脱が生じ,チェックバルブ機序により所属する罹患肺葉が過膨張して正常肺を圧迫して呼吸困難を生じる比較的まれな疾患である.
・日本気胸・嚢胞性肺疾患学会の肺嚢分類(2006年版)では気腫性肺嚢胞の一部として分類されているが,小児の肺葉性肺気腫は肺胞構造が保たれたまま過膨張しているに過ぎず,組織破壊を伴うものではない.病理学的に成人の肺気腫とは異なり単一の疾患と考えるより病態と考えるべきであるとの意見もあり,用語としての混乱がみられる.
・発生頻度は2~3万出生に1人で,欧米では男児が女児の約2倍発症するが,わが国では男女差はさほどないとの報告がある.
・発症時期は,出生直後から呼吸困難がみられる症例を含めほとんどが6か月未満に発症しているが,まれに幼児期以降に発症する症例もあり注意が必要