●病態
・食道・胃・十二指腸・小腸(空腸・回腸),大腸(結腸・直腸)などの消化管壁が破綻し(壊死や破裂など),内容が壁外に漏れ出た状態をいう.その原因は多様で主に消化管病変,医原性,外傷(外力)などであるが,原因不明(特発性)のこともある.
・局所の炎症進展に伴う血管透過性亢進・循環血液量低下により,低血圧や呼吸状態の悪化をきたす.しばしば全身性炎症反応症候群(SIRS:systemic inflammatory response syndrome)や播種性血管内凝固症候群(DIC)を併発し,ショック状態から急性腎不全に陥る.原因となりうる代表的疾患は表1図のごとくで,穿孔はどの年齢層でも起こるが,新生児における発生が多く,その大部分は小腸である.
・穿孔部位により症状はさまざまである.胸部食道に穿孔を生ずれば,気腫(頸部や縦隔),縦隔炎,発熱,胸水貯留および呼吸器症状やチアノーゼなど,腹部食道