診療支援
治療

Crohn病
Crohn disease
角田知之
(済生会横浜市東部病院・医長)

治療のポイント

・消化管全体にわたる病変の評価が必要であり,粘膜治癒を治療目標とする.

・寛解期における栄養療法の継続は,寛解維持に重要である.

・小児では成長障害の合併に留意する.

・本疾患を疑った場合には,すみやかに小児消化器専門医へ紹介する.

●病態

・Crohn(クローン)病は成因不明な炎症性腸疾患であり,病変は口腔から肛門までのすべての消化管に起こりうり,寛解再燃を繰り返す.潰瘍形成に伴う消化管穿孔や,腸管狭窄,瘻孔,腹腔内膿瘍などの消化管合併症以外にも,成長障害や関節炎,虹彩炎といった腸管外合併症をきたしうる.

・成因として,遺伝的要因と環境要因の両者が想定されているが,小児例では成人例に比べて難治例が多く,遺伝的要因が大きい可能性が指摘されている.

・わが国では「小児クローン病治療指針」(日本小児栄養消化器肝臓学会)と「潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針」(厚生労働省研究班)が出されている.また,ESPGHAN(European Society for Paediatric Gastroenterology Hepatology and Nutrition)から,治療ガイドラインが出されている.

●治療方針

 治療は活動期の寛解導入療法と寛解期の維持療法に大別される.小腸内視鏡や腹部MRIなども併用し,消化管全体を評価したうえで治療を検討する必要がある.

 治療目標は,症状がない(symptomatic remission)ではなく,粘膜病変の治癒(mucosal healing)であり,mucosal healingを達成することが予後の改善につながる.

 重症度の評価スケールには,PCDAI(Pediatric Crohn Disease Activity Index,軽症:0~10点,中等症:11~30点,重症:31点以上)がある.

 小児では,成長障害の有無について継

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?