診療支援
治療

ビリルビン代謝異常(体質性黄疸)
constitutional hyperbilirubinemia
丸尾良浩
(滋賀医科大学小児科学・教授)

●病態

・溶血や肝機能異常を伴わない高ビリルビン血症で,ビリルビン代謝および移送の異常によるもの.間接型(非抱合型)高ビリルビン血症と直接型(抱合型)高ビリルビン血症に分けられる.

・前者は肝臓でビリルビンを抱合するビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の異常による遺伝性非抱合型高ビリルビン血症で,血清ビリルビン値により重症型のCrigler-Najjar(クリグラー・ナジャール)症候群1型,中等症の2型および軽症のGilbert(ジルベール)症候群に分けられる.

・後者はDubin-Johnson(デュビン・ジョンソン)症候群とRotor(ローター)症候群である.Dubin-Johnson症候群は肝細胞から胆管側に抱合されたビリルビンを排泄するABCC2(cMOAT/MRP2)の異常である.ABCC2から排泄されない抱合型ビリルビンの一部はABCC3により肝細胞から類洞側に排泄されるため,高ビリルビン血症が生ずる.

・ABCC3により少量の抱合型ビリルビンは類洞に排泄されているが,OATP1B1とOATP1B3が類洞から肝細胞に再取り込みをするため,血中には間接型ビリルビンが通常は出現しない.しかしRotor症候群ではこの両方が障害されることにより,類洞に排泄されたビリルビンが肝細胞に再取り込みされずに,高ビリルビンが生ずる.

●治療方針

A.ビリルビン代謝異常(体質性黄疸)の評価・診断

 肝機能異常,閉塞性黄疸や溶血性黄疸がないことを確認したうえで体質性黄疸の鑑別を行う.

 まず間接型高ビリルビン血症か直接型高ビリルビン血症であるか.次に間接型高ビリルビン血症であれば血清ビリルビン値はいくらであるかにより,1~6mg/dLの軽症型のGilbert症候群であるか,中等症のCrigler-Najjar症候群2型(6~20mg/dL)または重症の1型(20mg/dL以上,一般

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