●病態
・慢性膵炎とは,膵臓への持続的な炎症やその瘢痕により生じる膵実質細胞壊死,線維化をきたした病態で,多くは非可逆性・進行性である.代償期には反復性の心窩部・左季肋部痛などが主症状で,脂質の多量摂取などを契機として急性膵炎発作を呈する.
・慢性膵炎が進行する(非代償期)と膵外分泌機能不全を呈し,消化吸収障害による下痢や体重減少などの症状が出現する.外分泌機能は,BT-PABA試験(保険適用)や便中エラスターゼI測定により評価できる.
●治療方針
慢性膵炎の治療について,代償期(膵炎発作の予防・治療,疼痛コントロール)と非代償期(膵外分泌不全症に対する膵酵素剤)に分けて述べる.
A.代償期(膵炎発作の予防・治療)
栄養管理としては,膵外分泌機能を刺激しないよう脂質を制限し,1日4~5回少量ずつ摂取することが勧められる.栄養補助として脂肪含有量が少ない成分栄養剤を用いることもある.成長期の小児においては,過度な脂質制限による低栄養・成長障害に留意する必要がある.
Px処方例
エレンタール薬配合内用剤(80g/袋) 1日1~2袋 1袋を水または微温湯に溶かして数回に分けて服用
膵炎発作時の治療は急性膵炎に準じる.発作予防には膵酵素の活性化抑制による膵の炎症抑制を期待し,メシル酸カモスタット(フオイパン)を用いる.膵管拡張や膵管内結石を認める症例ではOddi括約筋の弛緩による膵管内圧低下を目的にフロプロピオン(コスパノン)を用いる.膵管変形や蛋白栓を認める症例に対して,蛋白栓溶解作用を期待してブロムヘキシン塩酸塩(ビソルボン)を用いることがあるが,ガイドライン上の推奨はなく保険適用もない.
Px処方例 下記➊~➌を病態に応じて適宜併用する.
関連リンク
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- 治療薬マニュアル2024/カモスタットメシル酸塩《フオイパン》
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- 治療薬マニュアル2024/ブロムヘキシン塩酸塩《ビソルボン》
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