A.適応となる病態と段階的Fontan型手術
Fontan(フォンタン)型手術は,二心室修復が困難な単心室血行動態を有するチアノーゼ性心疾患(単心室,三尖弁閉鎖,左心低形成症候群など)に対して,低酸素血症と心室容量負荷の軽減,QOL改善を目的として行う機能的修復術である.
対象心疾患が多様であるため手術治療手順は一定ではないが,一般的に①乳児期早期までに行うQp/Qs適正化を目的とした姑息手術,②乳児期~幼児期早期に行う両方向性Glenn(グレン)手術,③およそ就学前までに行うFontan型手術,という段階を経てFontan循環の完成に至る.このすべての段階に,適応・予後改善にかかわる条件がある.QOL改善が得られたとはいえ長期的には不利な循環動態であり,適応拡大には慎重になるべきである.
B.両方向性Glenn手術まで
肺血流量コントロールによる肺血管抵抗・肺動脈圧の低減,弁逆流の改善など