診療支援
治療

Fontan型手術
indications for Fontan type operation
城戸佐知子
(兵庫県立こども病院循環器内科・部長)

A.適応となる病態と段階的Fontan型手術

 Fontan(フォンタン)型手術は,二心室修復が困難な単心室血行動態を有するチアノーゼ性心疾患(単心室,三尖弁閉鎖,左心低形成症候群など)に対して,低酸素血症と心室容量負荷の軽減,QOL改善を目的として行う機能的修復術である.

 対象心疾患が多様であるため手術治療手順は一定ではないが,一般的に①乳児期早期までに行うQp/Qs適正化を目的とした姑息手術,②乳児期~幼児期早期に行う両方向性Glenn(グレン)手術,③およそ就学前までに行うFontan型手術,という段階を経てFontan循環の完成に至る.このすべての段階に,適応・予後改善にかかわる条件がある.QOL改善が得られたとはいえ長期的には不利な循環動態であり,適応拡大には慎重になるべきである.

B.両方向性Glenn手術まで

 肺血流量コントロールによる肺血管抵抗・肺動脈圧の低減,弁逆流の改善などが目標.肺血流量が少なければ短絡手術,多ければ肺動脈絞扼術(PAB)を行い,SaO2=80%前後を維持する.体循環が動脈管に依存する場合はNorwood(ノーウッド)手術や大動脈再建術が行われる.内科管理では,肺血管拡張薬(肺血管抵抗軽減)や利尿薬(心不全改善)を投与することがある.

C.両方向性Glenn手術

 上大静脈を肺動脈に吻合する手術.術後は心室容量負荷・房室弁逆流軽減が期待される.体心室流出路狭窄例ではDamus-Kaye-Stansel(ダムス・ケイ・スタンセル)手術,有意な弁逆流があれば弁形成,Fontan循環に不利な側副血管はコイル塞栓を追加.内科管理では,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系抑制薬やβ遮断薬を追加することもある.

D.Fontan型手術

 肝静脈を含む下半身からの静脈血も,すべて肺動脈に灌流させる右心バイパス手術.人工血管を用いるtotal cavopul

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?