●病態
・本来は左心房に還流するべき4本の肺静脈が,すべて右心系に還流している心疾患である.
・多くの場合,4本の肺静脈がまとまって共通肺静脈腔を作ってから右心系に還流する.肺静脈血が右心系に戻る経路によって以下の4つの型に分類される.
a)上心臓型:肺静脈が無名静脈や上大静脈などの心臓の頭側の体静脈に還流するもの
b)傍心臓型:肺静脈が冠静脈洞に還流するもの
c)下心臓型:肺静脈が門脈・肝静脈・下大静脈などの横隔膜下に還流するもの
d)混合型:上記のうち2つ以上の組み合わせになっているもの
・主な症状はチアノーゼと多呼吸であるが,軽度のものから緊急手術を要するものまで重症度がさまざまである.この重症度を決めるのは肺静脈閉塞(PVO:pulmonary venous obstruction)とよばれる肺静脈から右房にかけての血管の狭窄の程度,心房間交通の大きさ,ほかの心疾患の合併の有無である.
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