診療支援
治療

感染性心内膜炎
infective endocarditis(IE)
赤木禎治
(岡山大学病院成人先天性心疾患センター・センター長)

治療のポイント

・本症は予防可能な疾患であり,リスクのある先天性心疾患患児には保護者および本人に,日常の口腔内ケアや歯科治療時の抗菌薬の予防投薬について繰り返し説明しておく必要がある.

・詳細な薬剤選択は,日本循環器学会「感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)」を参照していただきたい.

●病態

・小児における感染性心内膜炎(IE)は生命にかかわる重篤な感染症であり,その診断・治療はきわめて重要である.

・小児の発症リスクとして①先天性心疾患の存在,②先天性心疾患術後の人工弁やパッチなど人工物の存在,③手術時などでのカテーテル留置,などがあげられる.先天性心疾患における狭窄,短絡,逆流血流による心内膜損傷が起こりやすいこと,カテーテル治療または手術時に使用される人工物の表面に細菌が付着しやすいことがあげられる.

・一般に先天性心疾患では右心系IEの割合が高く,右左短絡に伴う塞栓症も少なくない.未手術の先天性心疾患では,Fallot四徴症(ファロー)四徴症などのチアノーゼ型先天性心疾患が最も高リスクであり,心室中隔欠損,大動脈弁狭窄/閉鎖不全,大血管転位,動脈管開存の順にリスクが高い.また無脾症候群などの内臓錯位症候群では,チアノーゼ型の複雑先天性心疾患の合併が多いことに加えてStreptococcus pneumoniae感染に対する抵抗力がないため,IEのリスク,致死率とも高い.

・小児におけるIEのリスクの特徴としては,乳歯から永久歯に変わるため抜歯などの歯科治療の機会が成人に比べて多いことや,アトピー性皮膚炎に伴う皮膚の感染症が多いことなどがあげられる.原因菌として,小児ではStaphylococcus aureus感染が多いことから重症化しやすい傾向がある.留置カテーテル感染や院内感染ではグラム陰性菌群や真菌感染も起こりうる.

●治療方針

A.内科的治療

 内

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