診療支援
治療

高血圧
hypertension
豊野学朋
(秋田大学大学院小児科学・准教授)

●病態

・日本高血圧学会発行の「高血圧治療ガイドライン2019」によれば,基準となる血圧は幼児120/70mmHg以上,小学校低学年130/80mmHg以上,小学校高学年135/80mmHg以上,中学校男子140/85mmHg以上,中学校女子135/80mmHg以上,高等学校140/85mmHg以上である.

・小児で発見される高血圧はほとんどが本態性に該当し,半数は肥満に合併する.

・問題点として,成人本態性高血圧への移行,左室肥大,頸動脈内膜中膜複合体の肥厚,大動脈弾性特性の変化,微量アルブミン尿.メタボリック症候群が報告されており,成人期死亡の危険性を有する.

・小学校低学年以下,または血圧が高いほど二次性高血圧を考慮する.

・急性疾患では,糸球体腎炎などの腎疾患,糖質コルチコイドなどの薬剤,全身性エリテマトーデスなどの血管炎,頭部外傷などの神経疾患が原因となる.

・慢性疾患では,腎血管性高血圧,逆流性腎症,低出生体重,大動脈縮窄,2型糖尿病,Cushing(クッシング)症候群,閉塞性睡眠時無呼吸症候群などが原因となる.

●治療方針

 基準値前後の高血圧は異なる機会に繰り返し測定し,家庭血圧測定や24時間連続血圧測定を検討する.

A.基準値前後の高血圧

 a)栄養指導や運動処方などの生活習慣修正が対策となる.

 b)肥満に伴う高血圧にはこれらの指導が有効である.

B.明らかな高血圧

1.高血圧緊急症

 異常高血圧によって脳,心,腎,大血管などに急性障害が生じ進行する病態である.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.いずれの薬剤ともわが国では小児適応は取得されていない.

➊アプレゾリン注 1回0.2~0.6mg/kg(成人量1回20mg) 徐々に静注または筋注

➋ペルジピン注 1~3μg/kg/分 持続静注

➌ニトプロ注 0.5~3μg/kg/分 持続静注(効能・効果は手術時に限定)

2.高血圧切迫症

 急

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