●病態
・年齢,心拍数,持続時間,基礎心疾患の有無により,無症候性から心原性ショックに至るまでさまざまである.年少児の訴えは曖昧で胸痛の場合もある.乳幼児では顔色不良,不機嫌,哺乳不良,嘔吐,浮腫など心不全症状を呈することもまれではない.
・治療方針を決めるうえでQRS幅は重要で,年少児は0.08秒,思春期は0.1秒,成人は0.12秒を基準として以下のように分類される.
a)narrow QRS tachycardia:副伝導路を介する房室回帰頻拍や房室結節リエントリー性頻拍,心房頻拍,接合部頻拍などの上室頻拍と,心房粗動,心房細動などがある
b)wide QRS tachycardia:主に心室頻拍であるが,心室内変行伝導を伴う上室頻拍や,WPW症候群に伴う逆行性房室頻拍でもQRSは幅広となる
●治療方針
まず循環動態や意識レベルを評価する.循環動態が不良の場合には静脈ないし骨髄路を確保し,可能であれば12誘導心電図を記録する.
A.急性期治療
1.血行動態が不良のnarrow QRS tachycardia
アデノシン三リン酸二ナトリウム(ATP)(アデホス)急速静注を行い,無効あるいは静注ルートが確保できない場合には除細動器による心拍同期カルディオバージョンを施行する.
Px処方例
a.心拍同期カルディオバージョン 0.5~1ジュール/kgで開始し,2ジュール/kgまで増加させる.可能な限り鎮静・鎮痛下で行う.心室細動の際には,非同期で2ジュール/kgで開始,無効の場合には4ジュール/kgに増加,最大10ジュール/kgまでとする.
2.血行動態が不良のwide QRS tachycardia
直ちに心拍同期カルディオバージョ
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