●病態
・イオンチャネルあるいはイオン電流に影響する細胞骨格系の遺伝子変異による心筋細胞の再分極時間の延長により,心電図上,QT間隔の延長,倒錯型心室頻拍(TdP:torsade de pointes)を示す.臨床的には失神,突然死を起こしうる,不整脈疾患のなかでも注意すべき疾患の1つである.
・心電図と遺伝学的検査を組み合わせて診断したときの乳児期の頻度は約2,000人に1人,心電図に基づいた頻度は小学1年生で約3,300人に1人,中学1年生で約1,000人に1人である.
・乳児突然死症候群患児の10%に,QT延長症候群(LQTS)の責任遺伝子が証明されている.
・遺伝学的責任遺伝子で分類すると,現在16のタイプに分かれている.遺伝学的検査で変異を証明できる率は60~70%である.このなかでは1~3型が最も多い.
・QT延長症候群の症状は,失神,救命された心停止,突然死である.症状の誘因としてLQT1(QT延長症候群1型)は運動,水泳,LQT2は突然の騒音,興奮を含む精神的ストレス,安静/睡眠時,LQT3は安静/睡眠時であることが多い.またLQT2は起床前後,分娩後授乳期に多いことも知られている.
●治療方針
A.TdP発生時の急性期治療
TdPは自然停止する場合と心室細動に移行する場合がある.心室細動に移行する場合は電気的除細動が必要である.TdPの停止と再発予防には硫酸マグネシウムの点滴静注が有効である.β1遮断薬(プロプラノロール),抗不整脈薬(リドカイン,メキシレチン)が有効な場合がある.
Px処方例 ➊にHoshino K,et al:Pediatr Int 48:112-127,2006による,➋に長嶋正實,他:小児不整脈(改訂第2版).pp42-47,診断と治療社,2011による報告を示す.
関連リンク
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