診療支援
治療

急性リンパ性白血病
acute lymphoblastic leukemia(ALL)
今村俊彦
(京都府立医科大学大学院小児科学・講師)

治療のポイント

・化学療法や造血細胞移植の経験が豊富な施設での治療が望ましい.

・化学療法中の有害事象に対する十分な対応が必要である.

・病型や重症度および治療反応性に基づいた層別化治療が行われる.

・適切な層別化治療を行うために,染色体や遺伝子検査の解釈に習熟する必要がある.

・日本小児血液・がん学会ウェブサイト(https://www.jspho.jp/)に「小児白血病・リンパ腫診療ガイドライン2016年版」が公開されており参照されたい.

●病態

・小児期の腫瘍性疾患で最も頻度が高く,わが国では1~4歳の小児に好発し,年間約500人の新規発症がみられる.

・小児急性リンパ性白血病(小児ALL)の治療反応性を評価するうえでは,微小残存病変(MRD:minimal residual disease)の測定が重要である.現在,ALL細胞の免疫グロブリン再構成パターンをPCR法により検出し,高感度でMRDを評価することが可能となり,治療反応性のモニタリングの精度が格段に向上した.

・近年のゲノム解析技術の進歩に伴い,急性リンパ性白血病の発症にかかわる数多くの遺伝子異常が明らかとなり,その一部については分子標的薬の治療標的や予後因子として重要であることが示された.

1.KMT2A遺伝子再構成陽性乳児ALL

・染色体11q23領域に存在するKMT2A遺伝子の再構成を有する1歳未満発症のALLで,世界的に本疾患に特化した治療レジメンで治療されているが,無病生存率は40~50%程度ときわめて予後が不良である.

2.Ph(フィラデルフィア染色体)+ALL

BCR-ABL融合遺伝子陽性のALLであり,BCR-ABLのキナーゼ活性を阻害するチロシンキナーゼ阻害薬と化学療法を併用することで治療成績の大幅な改善を得た.

3.Ph-like ALL

・Ph+ALLに酷似した遺伝子発現プロファイルを示すにもかかわらず,BCR-

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?