●病態
・慢性骨髄性白血病(CML)は多能性造血幹細胞に染色体転座〔フィラデルフィア(Ph)染色体:t(9;22)(q34;q11.2)〕が形成されることにより発症するクローン性の骨髄増殖疾患である.
・遺伝子レベルではMajor BCR-ABLキメラ遺伝子が産生され,ABLのもつシグナル伝達調節能が常時活性化され腫瘍化をきたしている.
・小児CMLは小児白血病の2%程度とまれであり,国内の年間発症数は20例程度である.
・多くの場合,CMLは脾腫や白血球増多から診断され,顆粒球系細胞への分化,増殖が誘導される慢性期,幼若な芽球の増殖を認める移行期〔①末梢血もしくは骨髄中の芽球15~29%,②末梢血もしくは骨髄中の芽球と前骨髄球が計30%を超える(芽球30%未満),③末梢血中の好塩基球20%以上,④治療に関連しない血小板減少(10万/μL未満),⑤治療中に出現したPh+細胞でのクローン性染色体異常〕,急性転化期(脾腫以外の髄外増殖,もしくは末梢血,骨髄のいずれかで芽球30%以上)の3つの病期に分類され,慢性期に診断されることがほとんどである.
●治療方針
以前は同種造血移植が唯一の治療法であったが,2000年代にABLのシグナル伝達を阻害し抗腫瘍効果を発揮する分子標的薬〔チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)〕が登場し,現在はTKI治療が中心である.第一世代TKIのイマチニブによる小児慢性期CML患者の3年無増悪生存率は98%と非常に高く,小児CMLにおいても標準治療といえる.TKIは従来の抗がん薬とはまったく異なる薬剤で,薬剤ごとに異なる副作用プロファイルをもつ.筋骨格系副作用や肝障害,心血管系副作用,そして小児では成長障害など多岐にわたる副作用が報告されている.
TKIによる治療は年単位の長期間にわたる.成人では,深い分子遺伝学的寛解を最低2年間維持できた患者ではTKIを中止する試みが