診療支援
治療

神経芽腫
neuroblastoma
松本公一
(国立成育医療研究センター小児がんセンター・センター長)

●病態

・神経芽腫は,かつてマススクリーニングが行われていた小児がんの代表的疾患であり,胎生期の神経堤細胞を起源とする神経芽細胞が腫瘍化したもので,副腎髄質や交感神経節に発生する.日本では1年間におよそ150~200人の発症がある.

・腹部腫瘤や肝腫大,リンパ節腫脹で発見されることが多いが,高リスクの場合,骨転移による疼痛,眼球突出,頭部腫瘤などで発見されることもある.

・特殊な症状として,頸部交感神経節原発ではホルネル症候群(縮瞳,眼瞼下垂,同側顔面の発汗低下など),傍腫瘍性神経症候群としてオプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS:opsoclonus-myoclonus syndrome)を合併することがある.

・検査上,血清NSE,LDH,フェリチンの上昇,尿中VMA/Cr,HVA/Crの上昇を認める.

MYCN遺伝子増幅の有無が予後に関連している.しかし高リスク神経芽腫の場合,現状の治療ではMYCN遺伝子の予後に対する影響は少ないとされている.

●治療方針

 治療方針はリスク分類によって決定される.一般的に国際神経芽腫リスクグループ(INRG)リスク分類が用いられ超低リスク,低リスク,中間リスク,高リスクに分類されている.

 INRGリスク分類は,INRG病期分類,INPC組織分類,MYCN遺伝子増幅の有無などによって決定される.

A.超低リスク群・低リスク群

 限局性腫瘍の場合,一期的な手術を施行するかどうかの判断の指標として,IDRF(image-defined risk factors)が推奨される.IDRF陰性の場合は一期的に手術を行い,IDRF陽性の場合は術前化学療法として低用量のシクロホスファミド,ビンクリスチンなどを使用して,腫瘍の縮小が得られてから二期的手術摘出を行う.

Px処方例 JCCG(日本小児がん研究グループ)神経芽腫委員会LI-Aとして下記を併用する.

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