●病態
・小児の腎腫瘍の約80%を占め,年間発生数は全国で70~100例程度と推定されている.3歳未満の乳幼児に発生することが多く,泌尿器系の奇形を合併することがある.またWAGR症候群,Beckwith-Wiedemann(ベックウィズ・ヴィーデマン)症候群,Denys-Drash(デニス・ドラッシュ)症候群などの症候群に頻発する.
・初発症状としては腹部腫瘤・腹部膨満が最も多いが,血尿で発見されることもある(約20%).レニン高値による高血圧が約20%の症例でみられる.
・原因としてWT1遺伝子の変異が有名であるが全例に関与しているわけではなく,ほかにもIGF(インスリン様成長因子)2,βカテニン遺伝子の異常などが報告されている.
●治療方針
手術・化学療法・放射線治療を組み合わせた集学的治療の進歩により,治療成績は飛躍的に向上し,最近では転移例も含めた全症例の生存率が90%近くにまで達してい