●病態
・骨および骨外性(Ewing(ユーイング)肉腫),未分化外胚葉腫瘍(PNET:primitive neuroectodermal tumor),神経上皮腫(neuroepithelioma),および胸壁アスキン腫瘍の4疾患は,22番染色体q12のEwing sarcoma breakpoint region 1(EWSR1)遺伝子とETSファミリー遺伝子(FLI1,ERG,ETV,E1AF,FEVなど)のいずれかと共通の融合遺伝子を有することから,一連の疾患としてESFTと総称されるようになった.
・小児期から青年期に最も多く発症する肉腫で,小児および青年期腫瘍の約5%を占める.わが国における年間登録数は30数例である.
・原発部位の約75%は骨で,残りの約25%は軟部組織である.発症部位は四肢50%,骨盤26%,胸壁16%,椎体6%,頭蓋骨2%である.遠隔転移の有無により限局性(約75%)と転移性(約25%)に分類され,遠隔転移は肺,骨,骨髄の順に多い.
●治療方針
ESFTではたとえ限局性でも,診断時には微小な転移を有していることが多い.また本症では疾患の治癒だけではなく,機能を温存し後遺症を可能な限り最小限に減じることが治療目標である.そのため原発腫瘍の縮小と微小転移の根絶を目的とした多剤併用化学療法と,局所治療(放射線治療と手術)を併用した集学的治療が必須である.
A.化学療法
1.限局性ESFT
VDC療法〔ビンクリスチン(VCR)+ドキソルビシン(DXR)+シクロホスファミド(CPA)〕とIE療法〔イホスファミド(IFM)+エトポシド(ETP)〕の交替療法が,国内外ともに限局性ESFTに対する標準治療の1つとして位置づけられている.
VDC-IE療法を局所治療前に6サイクル,局所治療後に8サイクル行うが,終盤2サイクルのVDC療法では心毒性のリスク増加を考慮してDX
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