診療支援
治療

膜性腎症
membranous nephropathy(MN)
稲葉 彩
(横浜市立大学附属市民総合医療センター小児総合医療センター)

●病態

・膜性腎症(MN)は,成人ではネフローゼ症候群をきたす代表的疾患の1つであるが小児ではまれである.MNは特発性と二次性に分類されるが,わが国の小児では特発性が多い.

・近年特発性の原因として抗膜性ホスホリパーゼA受容体(PLA2R)抗体が報告され,わが国の成人患者でも陽性が多いが,小児の陽性患者はきわめてまれである.

・二次性MNはB型肝炎やC型肝炎,全身性エリテマトーデスなどの膠原病,薬剤性や悪性腫瘍によるものなどがある.

●治療方針

 最初に特発性か二次性かの鑑別を行い,二次性には原疾患の治療を優先する.小児の特発性MNはエビデンスの高い治療は未確立であり成人MNや小児IgA腎症への治療などを参考に行われている.

 ネフローゼ症候群を呈さない小児MNにはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬が選択される.

 ネフローゼ症候群を呈する小児MNにはステロイドや免

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