●病態
・帯下(おりもの)は,腟内の老廃物を排出し腟内の清浄度を保つ役割を担う.腟分泌物の増加や外陰部のかゆみは,腟内における何らかの炎症の存在を示唆し,小児婦人科領域で頻度の高い愁訴である.
・乳幼児期に外陰腟炎が発生する要因は,エストロゲン低値のため腟粘膜が薄く,腟内のデーデルライン桿菌が少なく腟の自浄作用が弱いこと,また肛門周囲の清潔が保てないことなどによる.
・一方,思春期以降では性的接触による感染症によるものを診断することが必要である.これについては他項を参照されたい.性交経験のない思春期女性では,カンジダ外陰腟炎や細菌性外陰腟炎がみられる.
●治療方針
外陰部の診察では,会陰と陰唇,腟入口,外尿道口周囲,肛門周囲の状態を観察する.会陰の両側方を軽く下方に広げると腟壁の下部を見ることができる.腟分泌物検査をする場合には,滅菌綿棒を挿入して培養検査を行う.腟内異物が疑われる場合には,直腸診