診療支援
治療

てんかん(一般的治療指針)
epilepsy
奥村彰久
(愛知医科大学小児科学・教授)

治療のポイント

・治療を開始する前に,診断が適切であるか否かを慎重に判断する.

・治療の適応になるのは,てんかん発作が患児のQOLを低下させる場合である.

・抗てんかん薬の選択は主に発作型による.

・非合理的な日常生活の制限は,スティグマの原因となるため忌避するべきである.

●病態

・てんかんは,大脳の神経細胞が過剰に興奮することに起因する脳機能障害発作(てんかん発作)を反復する慢性の脳の疾患である.

・一般的には2回以上の発作を反復した場合にてんかんと診断する.

・初回発作を認めた際に,次の発作が10年間に60%以上の確率で起きると考えられる場合には,初回発作時にてんかんと診断してもよい.

●治療方針

 てんかんの治療の成否に大きくかかわるのは,正確な診断とそれに基づく治療反応性や長期予後の推定である.てんかん発作か否かの鑑別が最も重要であり,誤った診断は不要な投薬や見せかけの治療抵抗性につながる.

 てんかんの治療の目的は,患児のQOLの向上である.患児のQOLを低下させる最も大きな要因はスティグマである.日常生活や学校生活の制限はスティグマに直結するため,忌避すべきである

A.てんかんと非てんかん性イベントの鑑別

 てんかんの治療の前に,てんかん発作か否かを確認する必要がある.小児,特に乳幼児では,憤怒けいれん・head nodding・身震い発作などのてんかん発作と誤認されやすい非てんかん性イベントが多い.年長児では,心因性非てんかん発作に注意が必要である.

B.てんかん発作の発作型の診断

 てんかん発作の発作型の診断は,抗てんかん薬の選択に重要である.発作型診断において最も重要なのは発作症状で,特に発作起始時の症状をよく聴取することが重要である.発作間欠期脳波や家族が持参する動画は,発作型の診断に有用ではあるが,その重要性は発作症状に劣る.

C.てんかん症候群の診断

 てんかん症候群の診断は,長期

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