診療支援
治療

Guillain-Barré症候群,慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー
Guillain-Barrésyndrome(GBS),Chronic inflammatory demyelinatingpolyradiculoneuropathy(CIDP)
藤井克則
(千葉大学大学院小児病態学・講師)

Ⅰ.Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群(GBS)

●病態

・下肢から上行する運動麻痺と感覚障害,腱反射消失を主徴とする自己免疫疾患である.

・感染に伴う抗糖脂質抗体の産生がある.

・2013年に日本神経学会から診療ガイドラインが刊行された.

●治療方針

 免疫グロブリン療法と血液浄化療法は同等の効果がある.小児では前者がよく用いられる.副腎皮質ステロイドは単独では有効性がない.

1.呼吸が保たれているとき

 免疫グロブリン療法か血液浄化療法を行う.

2.人工呼吸が必要なとき

 上記に加えてステロイドパルス療法を行う.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

➊献血ヴェノグロブリンIH注 1回400mg/kg 1日1回 点滴静注 5日間

 (人工呼吸管理になった場合)

➋ソル・メルコート注 1回30mg/kg 1日1回 点滴静注 3日間

➌ヘパリンナトリウム注 1日100単位/kg 点滴持続静注

 (誤嚥性肺炎の場合)

➍スルバシリン注 1回50mg/kg 1日3回

 静注あるいは点滴静注

 〔血液浄化療法(単純血漿交換法)〕

➎1回の血漿処理量は40~50mL/kgを目標とし,1クール3~6回を隔日ないし週3回で行う.

 副作用:ショック,アナフィラキシー

 免疫グロブリン療法と血液浄化療法の併用は勧められていないが,行う場合には先に単純血漿交換法を行ったあとに,免疫グロブリンを投与することが望ましい.

Ⅱ.慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)

●病態

・2か月以上かけて緩徐に進行する四肢筋力低下と感覚障害を主徴とする.

・末梢神経の多巣性脱髄が病因で増悪緩解を反復する.

・2013年に日本神経学会から診療ガイドラインが刊行された.

●治療方針

 CIDPには第1選択の治療法と補足的治療が存在する.第1選択には副腎皮質ステロイド,免疫グロブリン療法,血漿浄化療法の3つがありいずれも同等である.第

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