●病態
・自閉スペクトラム症(ASD)はDSM-5の診断基準で「社会的コミュニケーションの障害」と「限定された興味」の2つを満たすと定められている.ASDの中核症状は社会的なコミュニケーションの問題や社会的相互作用の障害であり,また限定された行動や物に特別な興味をもち,変化に抵抗し,仲間に合わせて活動できない.
・周辺症状としては易刺激性や攻撃性,自傷行為,かんしゃくなどがある.また気分と感情の不安定性や感覚過敏がある.症例によれば多動が認められることもある.これらの周辺症状は本人のみならず家族にも重大な影響を及ぼす可能性がある.自閉性障害の中核症状を治療できる薬物療法はまだ見出されていないが,自閉性障害に伴う興奮性の行動障害の治療に非定型抗精神病薬が有効である.
●治療方針
周辺症状のうち易刺激性や攻撃性,自傷行為,かんしゃくなどが強く出てきた場合は行動療法だけでは対応できず,薬物療法を行うことが望ましい.この場合はアリピプラゾール(エビリファイ),もしくはリスペリドン(リスパダール)を投与するとよい.詳しくは「自閉スペクトラム症,知的発達症」(→)を参照されたい.
A.効果不十分のとき
エビリファイ単独もしくはリスパダール単独の投与で効果が不十分のときは併用もありうる.副作用として錐体外路症状の出現には十分注意する必要性がある.
B.副作用
頻度は低いが,振戦やジストニアなどの錐体外路症状が認められることがある.この場合は中止することで症状は消失する.
糖尿病を合併するときにはエビリファイは使用できない.リスパダールは過食により肥満することがあるので注意が必要である.
C.向精神薬処方の実例
1.抗不安薬
不安が強いときに次のどれかを選択することが多い.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
関連リンク
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