Ⅰ.過換気症候群
●病態
・発作的・不随意的に起こる過換気によって呼吸性アルカローシスが生じ,空気飢餓感,胸痛,嘔気,しびれ,意識混濁などの多彩な症状を呈する疾患である.
・通常は呼吸数が増えると動脈血CO2分圧が低下することで呼吸中枢が抑制されるため,過換気になることはないが,情緒不安定な状態では呼吸中枢が正常に機能しないことから呼吸が抑制されず,過換気を引き起こすといわれている.
・呼吸性アルカローシスは脳血管の収縮から意識混濁を,血清カルシウムイオン減少に伴う神経・筋の被刺激性亢進から四肢のしびれや硬直を引き起こす.運動・発熱などの身体的因子や,不安・怒りなどの心理社会的因子が引き金となりやすい.
●治療方針
A.発作時
以前は過換気といえばペーパーバッグ法(紙袋を口に当て,呼気を再吸気することでCO2分圧上昇を期待する)が第1選択であったが,この方法によって窒息を起こす症例があることが知られる