●病態
・大腿骨近位成長軟骨板(単純X線では大腿骨頭内の骨端線)が負荷される荷重に耐え切れず,骨端が骨幹端に対して後内方に転位する(すべる)疾患である.小児の成長が盛んな9~15(平均11)歳が好発年齢で,男女比は3:1と男児に多い.
・通常,緩徐に発症して骨端は少しずつ傾斜していくが,骨端と骨幹端の連続性が保たれている間は跛行を呈しつつも歩行可能である.このような状態を安定型SCFEとよぶ.
・一方,そのような経過中に軽微な外力(つまずき,尻もちなど)をきっかけに突然,骨端が骨幹端から離脱して骨折のように転位する.これは不安定型SCFEとよばれ,患児はまったく歩行不能となる.
●治療方針
不安定型SCFEとなってしまった場合,患児は専門科へ救急搬送されることになる.診断は単純X線所見で明瞭である.不安定型の治療は困難で,大腿骨頭壊死などの合併症も多く予後は不良である.
一方,安定型で軽症のうちに