診療支援
治療

光線過敏症
photosensitive dermatosis
国定 充
(神戸大学医学部附属病院皮膚科・講師)

●病態

・紫外線や可視光線の光線波長の領域でその光量として,通常反応が起こりえない量で皮膚に過剰な反応としてみられる病態のことを指す.

・原因としては薬剤によるものが多く,機序により光アレルギー反応によるものと,活性酸素を介した光毒性反応によるものにさらに分類される.

・薬剤以外でも代謝異常を背景とした遺伝子疾患,紫外線によるDNA損傷の修復欠損が原因の遺伝子疾患群などでも認められ,さらには全身性エリテマトーデスなどの既存の皮疹が紫外線曝露により増悪するという場合でも,広義には光線過敏症という疾患群に含める.

●治療方針

 光線過敏症の治療方針は大きく2つの段階に分けられる.

A.遮光を徹底させる

 光線過敏症を引き起こす原因物質に加えて紫外線に曝露されることによって生じているので,原因物質が不明でも遮光により発症は防げる.現時点で皮疹が出ているのであればまずは紫外線に当たらないように指導する.ニューキノロン系抗菌薬,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)のピロキシカムなどで頻度が高いので,薬剤内服後の皮疹出現であれば薬剤を中止させる.

B.皮疹を軽快させるための治療

 最も頻度の高い光アレルギー性の光線過敏症について記載する.

1.軽症例

 皮疹の性状は紅斑であったり丘疹であったりさまざまであり,また自覚症状としてかゆみや軽度の痛みを伴うことも多い.皮疹出現部位に対してステロイド外用を行うことが治療の基本となる.皮疹が水疱を伴うまではいかないが紅斑あるいは丘疹程度の場合,露光部においては顔面とともに体幹・四肢にも出現することがほとんどであるので,部位に応じて顔面ではミディアムクラスステロイド,体幹・四肢ではベリーストロングクラスステロイドをいずれも1週間程度の目処の外用量を処方する.かゆみについては抗アレルギー薬が併用され,まずは1週間分を処方する.

Px処方例 ➊あるいは➋に➌を併用する.

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