診療支援
治療

皮膚糸状菌症(白癬)
dermatophytosis(trichophytia)
畑 康樹
(神奈川はた皮膚科クリニック・院長)

治療のポイント

・診断には白癬を疑うこと,鏡検で真菌要素を確認あるいは培養による真菌の同定が必要である.

・体部白癬では外用薬による治療が一般的であるが,悪化するリスクもある.

・頭部白癬では内服薬による治療が望ましい.

・保険適用がある抗真菌薬はイトリゾールとラミシールしかないが,いずれも小児への投与量は明記されていない.

●病態

・白癬は皮膚糸状菌による表在性真菌症であり,皮膚糸状菌はMicrosporumM)属,TrichophytonT)属,EpidermophytonE)属からなる.

・白癬は部位により病名が分かれ,わが国では頭部白癬,体部白癬,股部白癬,手白癬,足白癬,爪白癬と呼称されている.

・小児によくみられる白癬は,頭部白癬や体部白癬である.

・原因真菌では動物からの感染であるM.canisT.mentagrophytesによるものや,格闘技系スポーツで蔓延するT.tonsuransによるものが代表的である.

T.tonsuransによる感染症は,わが国には2000年にレスリングの稽古を受けている6歳女児の頭部白癬を皮切りに,約半年後には集団感染が相次いで報告され,10年以上経過する.

●治療方針

 治療を始める前に,診断をつけることが大切である.T.tonsuransによる場合は最初はあまり目立たず見逃されることが多い.皮疹を見て白癬を疑い,鱗屑や毛髪から鏡検により真菌要素を見つける,あるいは培養により原因真菌を同定する.

A.体部白癬

 抗真菌薬の外用が一般的である.M.canisは好獣性真菌のため炎症症状が強く,外用薬による刺激により悪化あるいはid反応を起こすおそれがあり,注意を要する.広範囲に及ぶ場合には抗真菌薬内服も考慮する.

B.頭部白癬

 抗真菌薬の外用は体部白癬の場合以上に悪化させる可能性が高く,避けるほうが望ましい.現在,保険適用がある抗真菌薬はイトリゾール

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