診療支援
治療

小児喘鳴からみたアレルギー性鼻炎,副鼻腔炎との関連
allergic rhinitis,chronic sinusitis and asthma in children
和田弘太
(東邦大学医療センター大森病院耳鼻咽喉科・教授)

●病態

・小児,特に乳幼児は解剖学的,生理学的に喘鳴をきたしやすい.喘鳴は吸気性喘鳴と呼気性喘鳴に分類される.吸気性喘鳴(stridor)は主に上気道から気管での狭窄で,それより末梢での狭窄では呼気性喘鳴(wheeze)となる.原因疾患として,気管軟化症や気管異物,ウイルスや細菌感染に伴うものから気管支喘息,胃食道逆流症など喘鳴の原因は多岐にわたる.

●治療方針

 原疾患の治療が重要であることに間違いはないが,本項では喘鳴を伴うアレルギー性鼻炎,副鼻腔炎について述べる.家族には,まず喘鳴の原因究明や治療が重要であり,アレルギー性鼻炎,副鼻腔炎の治療はその次のステップであることを十分に説明する.原因は気管支喘息である場合とウイルスないしは細菌感染が考えられる.

A.気管支喘息が原因の場合

 まずは小児科医に気管支喘息に対する治療を依頼する.通常,小児においてはアトピー性喘息であり,好酸球性副鼻腔炎の合併は少ない.小児において好酸球性副鼻腔炎を合併する場合は,喘息の程度は重篤であることがあるので注意を要する.ステロイド内服の量,手術の必要性など小児科医と連携をとり治療にあたる.喘息に合併するアレルギー性鼻炎であれば,年齢に応じた抗アレルギー薬や点鼻薬を「鼻アレルギー診療ガイドライン2016年度版」に沿って行うとよい.

B.感染が原因の場合

 感染に伴い喘鳴がある場合は,急性細気管支炎などを疑う必要がある.ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)やマクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシンなどが有効であるとの報告もあるが,今後のエビデンスの集積が待たれる.鼻副鼻腔に細菌感染を認める場合は,肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラキセラカタラーリスなどが起炎菌となる.

Px処方例

アモキシシリン細粒 1日30~80mg/kg(成分量として) 1日3回に分けて

 上記に加え,カルボシステインや抗ヒスタミン薬を検

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