診療支援
治療

在宅での終末期の症状コントロール(精神症状を含む)
多田羅竜平
(大阪市立総合医療センター緩和医療科・部長)

 終末期にはさまざまな症状が高率に出現する.これらの症状を迅速かつ適切に緩和することは,患児とその家族にとって残された大切な時間を安楽に過ごすうえで,きわめて重要なことである.

A.悪心・嘔吐

 終末期において悪心・嘔吐は頻度の高い症状の1つである.終末期の悪心の原因は多様であり,しばしば複合的に作用する.必ずしも原因が明らかになるものではないが,悪心・嘔吐の病態生理に見合った対応および各薬物の作用機序を理解したうえでアプローチすることが望ましい.

 悪心・嘔吐の薬物療法の中心は嘔吐中枢,CTZ(chemoreceptor trigger zone),前庭核,末梢の各神経レセプターへの作用をコントロールすることによる.

 抗コリン作用と抗ヒスタミン(H1)作用を併せもつジフェンヒドラミンなどは,嘔吐中枢と迷走神経に作用することでほとんどの悪心・嘔吐に有効である.酔い止め薬としても小児に広く用いられ

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